メダカがたくさん卵を産めるわけ
メダカは栄養状態が良いと毎朝産卵し、そうでなくとも2〜3日に1回は産卵を行ないます。魚類には、一生涯に1回しか産卵しないサケのような種類と、タナゴのように一生涯に何回か産卵するものがいますが、後者は産卵期に数回に分けて産む種類、メダカのように毎日産卵することが可能な種類があります。
これらはそれぞれ、卵巣の構造が大きく異なることが知られています。
①サケのように一生涯に1回しか産卵しない魚類では、卵巣卵が一斉に成熟し、排卵された後に新たな卵母細胞の補充がなされない。
②タナゴのように産卵期に何回かに分けて産卵する種類では、産卵期に異なる発達段階の卵母細胞が少なくとも2群以上ある。排卵され、さらに産卵可能な条件であれば、次に控えている卵母細胞が成熟して排卵される。
③メダカのように毎目産卵する種類では、産卵期の卵巣には全ての発達段階の卵巣卵が見られ、排卵されるとすぐに次に控えている卵巣卵が排卵され、未熟な卵巣卵は連続的に発達する。メダカの場合には1回の産卵数は5粒から多くても20粒程度と少ないが、毎日コンスタントに産卵すれば、4月から8月いっぱいまでの5ヵ月間で1,000個から数千個の卵を産卵する計算となる。
しかし実際には、栄養条件や水質などが良好でも、繁殖期の後半では扉口は産卵しなくなるようです。したがって、1個体で数百個も産卵すればよいでしょう。
ふ化
このように産卵された卵は水温24〜25℃で、受精から2日後には眼が観察されるようになり、顕微鏡で見ると血流も観察できます。さらに発生は進み、5日後には胚が卵をほぼ一周するほど長くなります。
その後胚はさらに伸長し続け、10日ほどでふ化に至ります。この間、卵は水カビにおかされ死んでしまったり、他の生物の餌となってしまったりもすることもあります。さらに卵を産んだ親メダカも、卵を捕食します。メダカの卵にとっての天敵のひとつとして、そのメダカの親もあげられるのです。
このような状況で食べられたり水カビにおかされず、運よく生き延びた卵からは仔魚がふ化します。ふ化直後の仔魚でもすぐに遊泳を始めますが、強い水流では流されてしまうことや、他の生物から身を隠すためにも、障害物の陰などで生活しています。
この時期がメダカにとっては危険です。遊泳能力が小さいことから、他の魚の餌食になりやすいのです。メダカの親魚は卵のみならず、メダカの稚魚も見つけ次第捕食しようとします。
ふ化したての時には腹部に卵黄が残っているため、その栄養分でしばらくは生活できます。そして、ふ化翌日には卵黄が多少残っていても、小さな生物を捕食し始めるようになります。ふ化後の早い時期には、ゾウリムシやワムシのような原生動物を補食していますが、成長とともに大型のプランクトンを捕食するようになり、やがて親と同じように様々な生物を捕食します。この後、当歳魚(その年に生まれた個体)は一般的にはその年には産卵に参加せず、翌年に繁殖行動をとることが多いようです。
しかし、早い時期にふ化したもののうち、成長の良い個体は、その年の繁殖期の晩期には産卵行動に参加するものもあります。自然界ではほとんどの場合、産まれた翌年に産卵し、その年の冬を越せずに死んでしまうものが多いといわれています。従って多くの個体は、1年半程度の寿命ということになります。水槽で大切に飼育すると3年ぐらいは生きますが、自然界では多くの場合、それほど長い期間生存することは
ないようです。
いずれにせよ、メダカは寿命が短いかわりに、生まれてから早い時期に繁殖することができ、さらには栄養条件が艮ければ毎日産卵することもできます。そのために大量に繁殖することが可能なのです。